2024年に成立した改正民法により、日本でも2026年以降、離婚後も父母が共同で親権を行使できる「共同親権」が選択できるようになりました。
これは、子どもにとってより良い養育環境を確保するための重要な法改正といえますが、その一方で、親の間でのトラブルや混乱が懸念される場面もあります。
本記事では、「共同親権」の影響について、「教育」「面会交流」「財産管理」の3つの観点から解説いたします。
そもそも「共同親権」とは?

日本の民法では、これまで離婚後の親権は「単独親権」が原則でした。
つまり、父母のいずれか一方が親権を持ち、もう一方は親権を失うという形です。
しかし、これには子どもの養育や教育に父母双方が関わることが難しくなるという問題がありました。
改正法では、離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」が選択できるようになり、子どもの最善の利益を図る制度設計が進んでいます。
教育における共同親権の影響
教育方針は、親権の中でも非常に重要な要素のひとつです。
具体的には、下記などがなどが親権の対象となります。
- 進学先の選択(公立・私立、地域など)
- 転校・編入の決定
- 留学の許可
- 習い事や進路の決定
- 特別支援教育の受講
- 進路指導や三者面談への対応
共同親権の場合、こうした重要な教育方針の決定は、原則として父母の協議と合意が必要になります。
つまり、どちらか一方の独断で私立中学を受験させたり、転校をさせたりすることはできません。
仮に意見が対立して調整がつかない場合、家庭裁判所に調停・審判を申し立てることで解決を図ることになります。
なお、下記のような日常的な対応については、基本的に片方の親が単独で行うことができます。
- 子どもの日常的な学習サポート(宿題を見るなど)
- 保護者会・運動会・学校行事への参加
- 学用品の購入や、日々の学校生活に関する対応
ただし、トラブルを避けるために、できるだけ事前に情報共有や合意形成が望ましく、「共同」であるからこそ、日頃からのコミュニケーションや合意形成の努力が求められます。
共同親権と面会交流との関係
「面会交流」は親権とは別の概念ですが、共同親権の場合にはこの面会交流にも一定の影響があります。
たとえば、単独親権であれば、非監護親(子どもと一緒に暮らしていない親)は面会交流の範囲内でしか子どもに関われません。
一方、共同親権であれば、たとえ同居していなくても、親権者として子どもの生活に積極的に関わる権利と責任があります。
ただし、面会交流の頻度や方法を柔軟に調整する余地がある一方で、面会交流の具体的な内容(頻度や場所、連絡方法など)は、別途取り決める必要があります。
共同親権であっても、子どもの福祉に反するような頻繁な干渉や過干渉は認められません。
財産管理における適用範囲
親権には、「身上監護権(教育・監護)」と「財産管理権」が含まれています。
未成年の子どもが財産を持っている場合(例えば相続で不動産を取得した、預貯金がある等)、その管理は親権者が行います。
共同親権の場合、財産の管理・処分には原則として父母双方の同意が必要です。特に以下のような場合は注意が必要です。
- 子ども名義の不動産を売却する
- 高額な学資保険の契約をする
- 相続に関する手続きをする
こうした行為は、一方の親が単独で行うことはできません。
これは、子どもの財産が不当に使われることを防ぐと同時に、親による不適切な管理を抑止する役割も果たしています。
ただし、日常的な財産管理(文房具の購入や通学定期の支払いなど)については、各親が単独で行うことが許されるケースもあります。どの範囲が「日常的」であるかは状況に応じて判断されるため、トラブルを避けるためには事前の取り決めが重要です。
共同親権の活用には
「協力」と「理解」が不可欠
共同親権は、親が共に子どもの育成に責任を持ち、子どもにとって最も良い環境を提供するための制度です。
しかしその反面、父母の間での協議や合意が欠かせず、場合によっては深刻な対立を生む可能性もあります。
特に、教育方針の不一致や面会交流の取り決め、財産管理の不明確さがトラブルの原因になりがちです。
制度の仕組みや法律上のルールを正しく理解し、あらかじめ取り決めを明確にしておくことが、円滑な共同親権の運用につながります。
さいごに
東京弁護士法人では、離婚に関するご相談・ご依頼を多数お受けしております。
「共同親権にしたいが、相手と話が進まない」「子どもの教育や財産管理について不安がある」など、共同親権の可否や具体的な適用範囲、親権者間の取り決めの作成などについて、ご自身での対応に不安がある方は、ぜひお気軽に東京弁護士法人までご相談ください。
お子さまにとって最善の選択ができるよう、全力でサポートいたします。





